プロスタグランジンは、ごく微量でも強力な生理活性を持ち、
現在では100種類近くの存在が解っています。
それぞれが、互いに拮抗しあいながら体の機能の調整をしています。
大きくは、促進、抑制、調整の3つのグループに分けられます。
プロスタグランジン(PG)
1シリーズは、全体の調整。 | ガンマーリノレン酸から作られます |
2シリーズは、促進(活性) | アラキドン酸から作られます |
3シリーズは、抑制(鎮静) | エイコサペンタエン酸から作られます |
プロスタグランジン1シリーズには、次の作用があります。
- サプレッサーTリンパ球の活性化
- ホスホリパーゼA2の阻害
- ヒスタミン遊離の抑制
むずかしい話は横に置いて、
プロスタグランジン1シリーズは、炎症の抑制に働いているしいうことです。
以上のプロスタグランジンがバランスをとりながら、次の作用に関係しています。
心脈管 | 末梢及び体循環、血圧、心臓力学 |
呼吸器 | 気管支収縮及び弛緩 |
消化器 | 消化液分泌、腸管吸収など |
泌尿器 | 腎臓の恒常性維持 |
内分泌 | ホルモン産生及び分泌、血糖調整 |
生殖器 | 卵胞、黄体、排卵、分娩誘発 |
中枢神経 | 体温調節、脳機能 |
末梢神経 | 自立神経伝達物質の放出の制御 |
血小板 | 粘着反応、凝集反応 |
結合組織 | 骨吸収、細胞間物質合成、破骨細胞 |
感覚器 | 眼圧 |
細胞膜 | 膜透過性、膜流動性 |
炎症 | 血管透過性亢進、白血球の誘引 |
がん | 増殖の抑制及び促進 |
免疫 | T細胞、B細胞、マクロファージの産生・分泌 |
発生・分化 | 胎児の発育、DNAの合成 |
老化 | 加齢現象、老化制御 |
プロスタグランジンの発見について
1930年に人の精液中の物質が、子宮筋を収縮させたり、血圧低下作用等を
持つことが発見されました。
1935年にスウェーデンのオイラーという人が、その物質がアルコールで抽出できる
低分子のもので、血圧を下げたり、平滑筋を収縮させる新物資であることをつきとめ、
プロスタグランジンと名付けました。
その後、多くのプロスタグランジンが発見されました。
1982年には、3人の研究者にノーベル医学・生理学賞が贈られています。
プロスタグランジンは、広範囲にわたり、体の機能調整に関わっている局所ホルモンです。
もう少し・・・
プロスタグランジンは、人工的に合成したものが、薬としてあります。
例えば、分娩誘発剤などです。
注意しなければならないのは、
人工のものは、与えた分だけ作用するということです。
それぞれの患者に必要な量を与えなければ、微量で強い作用を持つ
プロスタグランジンの働きは過剰なものとなり、副作用は大きくなります。
自然に体で作られる分というのは、当然のことながら、
そのときに必要な量が作られます。
ただし、健康な状態の場合です。
・・・健康でないから、作られないのか。
いや、必要なものが作られないから、健康でないのか・・・